模型サバニの制作日記③
サバニの造船には欠かせない、”すり合わせ”という技術のお話です。
板と板をつなぎ合わせる際に水が入ってこないよう、紙一枚入らないような接合面にする必要があります。
まっすぐな板同士でも、電気工具で切った断面でも、カンナで仕上げた断面でも、接合面がピタッと一致することはありません。
しかも、サバニは曲面ばかりなので平面を合わせるよりもさらに難しいんです。
下の写真は横の板と上の板を合わせようとしているのですが、接合面の不一致だったり、板同士の接合角度が合ってなかったり、色々な理由でピタッと板同士が合わない状態です。


板同士の接合角度が合っていないもの、大きなすき間はカンナ等で修正し、ごくわずかなすき間が残る程度までに仕上げます。
ごくわずかのすき間にもっていくまでが忍耐力が必要で、どこか削りすぎると違うすき間が広がっている、削ったものは元に戻らないので工程として振り出しに戻ることもありました…
少しのすき間まで合ってきたら、やっとすり合わせの工程です。
接合面に使わないノコギリの刃をかまして少しすき間が空くような状態で密着させ、板と板の間をノコギリで擦っていきます。
切るのではなく、板と板の出っ張った部分を削いでいくようなイメージです。
出っ張った部分だけ無くなっていくので、接合面が挟んだノコギリの刃のすき間分を残してピシッと整えられます。
すり合わせを数回繰り返すことで、紙一枚入らないような接合面になっていきます。


ピタッと面が一致したら、接着剤を塗って、舟かすがいという強力な固定工具で固定します。
本物のサバニでは、”木殺し”という技術も合わせて使うことでより強力に固定しています。

上の写真は、模型サバニの底板に使う材です。大きさが足りなかったので、十分な一枚の材を作って準備するところから始まりました。
次項、やっと底板を乗せる工程に進みます。