模型サバニの制作日記②

サバニの造船の真骨頂、曲げと絞りの工程です。

立体的に加工された舷側板(サバニの横面の左右の板)を、サバニの底面が上になるように組み立てていきます。

船首の舷側板がついた状態から、中央に向かって突っ張り棒を入れて船幅を確保していきます。

そして船尾を閉じるようにして、力で板を曲げていきます。

まっすぐだった板がかなりしなるので怖さがありますが、全く木が割れる気配はありませんでした。

舷側板を曲げて、船尾の閉じた部分を接着後、次の工程は絞りになります。

サバニは船首側の船底がぐっと細く絞られることで、波を切って進むことができるようになります。

この絞りの工程は木の繊維を捻る方向に力が加わるため負荷が強く、木が割れる可能性が高まります。

そこで熱湯を掛け続けて木の温度を上げて変形しやすくし、木の具合や寸法をみながらネジを使って一気に絞っていきます。

一か所を絞ると船首から船尾まで全てに変化が表れ、今回でいうと吉田サバニ造船の型に近づけようとしたときに必要となる各部位の寸法に合わせていくのですが、一か所合わせると他のところが遠ざかる、左右差が出てくる…そして、作業中は熱湯を掛けながら木の温度も心配しなければいけない焦った中で、全く頭の整理ができませんでした。

模型とはいえ板にはかなりの力がかかっているので、少し気を抜くと割れたり、クランプ(固定する道具)が外れて木が跳ね返りそうになったりする緊張感のある時間でした。

本物サイズは模型とは比にならない難しさなんだろうなと思い、今まで熱湯掛けを手伝っていた時の緊張感の意味がわかりました。

次項、底板を乗せる工程に続きます。

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